gloom of the prince〜恋する研究室〜
ちょっと、からかってみるか?

この前の、好きって何?のお返しだ。


「中、入って待っときなよ。」


でも、と遠慮する若菜の腕を掴み、俺は研究室の中に引き込んだ。

のは、いいんだが。


「何?どうかした?」


若菜の顔が真っ赤になる。

おいおい……、マジかよ。

俺は、腕、掴んだだけだぞ。


「何でもないです。」

「何でもないことはないでしょう。」


わざと子供に接するように言い聞かせる。

顔を近づけながら。


「いや……ホント、何でもないです。」


口では言いつつも、顔はどんどん赤くなっていく。

好きって何か、ちゃんとわかってんじゃん。

思わず俺は笑ってしまった。

俺はそんなにイイ男じゃないぞ。

いや、意外とイイ男なのかもな。
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