この想いを君に… −あの場所へ−
「お金も大変だし。
働きながらレースしようかな」

あたしは光さんを見つめた。

「じゃあ…」

光さんは暗闇で静かに波打つ海を見つめていた。

「俺の所に来て。
卒業したらすぐに…」

光さんはそう言ってポケットから取り出したのは、高そうなエンゲージリング。

「嫌ならここから海に捨ててくれていい」

あたしの手の中に握らされたリング。



もちろん。

あたしはそのまま左薬指につけた。



「光さん、あたしが相手だと一生大変だよ?」

悪戯っぽい笑みを浮かべると

「俺がボケんように、刺激を与えてくれたらいいから」

光さんはそう言って微笑んだ。
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