この想いを君に… −あの場所へ−

− 総一 −

ようやく、寝息が聞こえ始めた。

寝てくれたか。



真由は俺の病名がわかってからまともに寝ていない。

そして陰でコッソリと泣いているのも知っている。

子供達がいるから平然としていられるのだろうけど、本当は悲しくて仕方がないのだと思う。



俺だって。

何が何やらわからない病気に罹って、死ぬのが目に見えていて…

まだまだ成長途中の子供達や子供のような妻を残して行くのは辛い。



ましてやお店の事やレーシングチームはどうなる?



考えただけで、気が滅入ってしまう。
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