この想いを君に… −あの場所へ−
「…なあ」

知樹が二人の顔をじっと見る。

泰樹も桜も少し背筋を伸ばした。

「パパとママに…
もう少し二人だけで過ごせるように何かプレゼントしない?」

知樹はそう言って封筒を取り出す。

「これは去年、レースで取った賞金の一部。
パパが少しだけ俺をくれたんだ。
むっちゃんにも協力してもらってもう少しお金を足したら旅行に行けるくらいにはなるかな、と」

「僕も多少ならCDの売上金がある…
1万もないけど」

泰樹は苦笑いをしていた。

知樹は頷く。

「私、今までのお年玉、全部貯めてるからそれを使ったらいいわ」

桜も微笑む。



「パパの体が完全に動かなくなる前に旅行に行って貰おう、二人で!!」
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