この想いを君に… −あの場所へ−
「静かだね〜」

食事の後片付けをしてもらってから、二人だけでは広い部屋に真由と二人、座っていた。

真由はそっと立ち上がって電気を消した。

窓の外には漆黒の海が広がり、所々で月明かりが反射している。

「今日は十六夜だね」

真由が珍しく風流な事を言う。

「少しだけ欠けている月もいいね」

俺が呟く。

「久々にそーちゃんと二人きりって感じね」

薄明かりの中、真由は微笑んでいた。
< 227 / 417 >

この作品をシェア

pagetop