この想いを君に… −あの場所へ−
「トレーニングはまた後で…」

そう言ってあたしはパパを抱き上げて車椅子に載せた。

案外、これがトレーニングになったりして。

ママには絶対に出来ないな。



抱き上げるとき、パパの腕を触るけどその筋肉は、柔らかすぎて人の体とは思えなかった。



ここ数日は食事で使うスプーンでさえ、上手く使えていない。

お箸を使っていたのは遠い昔に感じる。

字も全く書けなくなって。

パパがパパでなくなっていくみたい。
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