この想いを君に… −あの場所へ−
「なあ、むっちゃん」

梅雨になるとお客さんがあまり来ないのでどちらかといえば暇だ。

お店に来てもあまり手伝う事がないのでたいていみんなと話する事が多い。

店長になったばかりの光さんが手招きをしてあたしを呼ぶ。

あたしは奥の部屋に入った。





「あのさ…」

少し改まった表情であたしを見つめる光さん。

その目…吸い込まれそうな…

「おーい…」

光さんが目の前で手を左右に振った。

あたしは慌てて頭を振る。

久々に光さんの顔をじっと見て、危うく違う世界にいきそうだった…

同居していてもほとんどすれ違いだからあまりきちんと顔を合わせた事がなかった気がする。
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