この想いを君に… −あの場所へ−
父ちゃんの時はこんなに酷くなかったしな…

父ちゃんは脳腫瘍だったけど。

苦しんだけど、そーちゃんと比べたらまだ…



「そーちゃん、どう?」

俺が家に行くとこれからお風呂に入れる所だった。

「俺が入れるよ」

勉強で徹夜明けの睦海達には可哀相。

俺はそーちゃんを浴室に連れて行った。

「祥太郎、ありがとう」

そーちゃんを風呂場の介護用椅子に座らせる。

「いいよ、これくらい」

その昔、そーちゃんは俺が赤ちゃんの時。

ずーっと世話をしてもらったから、お返し。



…そーちゃん、頼むから少しでも長く生きてよ、みんなの為に。

そう、背中に向かって願う。
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