この想いを君に… −あの場所へ−
「パパ」

少し疲れた表情でパパは寝室にいた。

ベッドの上で横になっている。

「…」

パパは黙ってドアの前に立つ俺を見ている。

「…体調はどう?」

俺はベッドにもたれ掛かるように座った。

「うん、最悪」

パパは笑っていた。

「知樹」

急に声のトーンが低くなって、少しビクッ、とする。

部屋の明かりを付けていない事も重なって薄暗闇が俺達家族を不幸のどん底へ突き落とされそうだった。



「…ママだとひょっとしたら嘘を言うかもしれないから、知樹に言っておく」

…何を言うの?
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