この想いを君に… −あの場所へ−
「泰樹、歌、歌って欲しい」

パパが突然言うものだから驚くと

「ほら、去年の8耐で使った曲とか」

何となく、その表情が楽しそうだったので僕はそのまま、ギターも何もなし、アカペラで歌った。



−真夏の視線を受けて走り出す
僕らの向かう場所はただひとつ
君の待つゴールへ−



確かこの曲。

光さんとむっちゃんを想像して作った。



パパは去年の夏を思い出しているのか、楽しそうな表情をしていた。



やっぱりパパ。

パパは…こんな所でじっとしていちゃ、ダメだよ。

早く…レースになんないかな。



もしかしたら…元気になるかもしれない。



病気が良くなる事はないけど。

気分だけでも元気になって欲しいから。
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