この想いを君に… −あの場所へ−

− 桜 −

8月中旬。

久々に家に帰った気がする。

なんせ…国際ジュニア大会に出ていたから。



「ただいま」

私が家に入るとリビングからは

「おかえり〜」

ママの声が聞こえた。

リビングに入るとパパとママがちょうど食事をしていた。

「ジャーン!!」

私は鞄の中から金メダルを取り出す。

「インターネットで見たわよ!写真だけ、だけど」

ママが嬉しそうに私を抱きしめてくれた。

「…再来年、オリンピックに行けるかな」

パパは弱々しい口調で言った。

…やっぱり。

私が日本を旅立つ前よりもかなり弱っていた。

「…頑張って出るから、パパ、来てよ」

パパは苦笑いしながら頷いた。



私、胸が苦しくて。

この場から逃げ出して泣きたい。



もう、たまんないよ…
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