この想いを君に… −あの場所へ−
「睦海!!」

突然、総一が叫んで一瞬静まり返ったチーム内。

「ゲッ…」

祥太郎の顔が引き攣った。

光は茫然としてモニターを見つめている。

サイドバイサイドから抜け出した睦海。

独走に入ったと思った瞬間、ハイサイドを起こした。

そのまま、マシンと共にコース外に投げ出された。



…先の後続車の転倒。

やはりオイルが漏れていた。

レース展開に必死だった3人は多少の危険は感じながらも、きちんと状況を見ていなかった。



トップの睦海が転倒したのを知樹は上手く避けた。

が、智道は運悪く睦海と接触して転倒してしまった。

ラスト1周の悲劇。



「やっちまったな…」

祥太郎は俯いた。

ちらっと総一を見ると。

総一は大きくため息をついて。

下を向いた。



「…これも」

総一の小さな声に光と祥太郎が反応して見つめた。





「レースなんだよね」
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