この想いを君に… −あの場所へ−
心地よい風にそーちゃんは気持ちよさそうに眠りについている。

呼吸もいつもよりは穏やかに見えた。



…本当にありがとう。

心の中で呟く。



そーちゃんがいなければ。

今、こうやってレースをしていたかどうかは疑問だ。



やがてゆっくりと目を開けたそーちゃんは俺を見て微笑む。



「さあ、楽しんでおいで」

「うん」

俺は微笑む。



そう言って送り出してもらえるのも…最後。



ヘルメットを着用する前に空を見上げた。



少しだけ秋の雰囲気を含んだ青空がそこには広がっていた。
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