この想いを君に… −あの場所へ−
「…総一さんが嫌がるやん。
むっちゃんは最初の子供やねんで」

光さんはそういう所で真面目だ。

「…俺は別に」

パパの声が聞こえた。

もう、呼吸などの筋肉も落ちてきているのかよく聞いていないと時々何を言っているのかわからない時があった。

一斉にパパを見る。

「睦海が早くに子供を産みたかったらそれでいいし。
俺が口出しする事じゃない。
光と睦海の大切な事だし。
自分達で決めないと」

パパはあたしを見て微笑んだ。

微笑む、と言っても口元を上に上げるだけ。

それ以上は無理だった。
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