この想いを君に… −あの場所へ−
「母ちゃんから聞いたんだけど…」

俺の言葉を遮るようにそーちゃんは

「ごめん」

と言った。

「俺が本当に駄目になる前に手を打とうと思ったんだ」

そーちゃんは自分の両手を見つめた。

「今日はまだ、痺れも大丈夫だった。
クラッチを握った感触もまだまだいける。
…でも、日に日に少しずつ悪くなっているのはわかる」

切ない笑みを浮かべて俺を見つめた。

「祥太郎、どうやら交代する時が来たみたい」



兄ちゃんや父ちゃんが死んだ時よりも。

その言葉がショックで。

そーちゃんから言われたそれが辛くて。



気がつけば目から沢山の涙が溢れていた。
< 58 / 417 >

この作品をシェア

pagetop