この想いを君に… −あの場所へ−
「パパ」

私は隣にいるパパを見つめた。

「また、試合見に来てね?」

夏の、あの大会が頭に蘇る。

ふと、観客席にパパの姿を見つけて思わず手を振って笑った私。

パパも振り返してくれて…

みんなが注目してた。

…少しだけ、胸を張った。

だって、パパって二輪の世界ではそれなりに有名だし。

そこにいた人はあんまり知らないと思うけど。

顔はまあまあ…カッコイイ部類だし。

とにかく、目立つ。

私と同じ強化選手に選ばれている子が試合後、駆け寄って来て

『あの人、門真さんの知り合い?何だか俳優みたいな人ね!!』

と言っていたから思わずニヤリ。

その子には試合では負けてないけど、色々な環境とかでは負けてるから…

どこかで勝ちたかった。



「…うん、また見たいね。
頑張ってオリンピックに出てよ。
行くから」

パパの言葉で我に返る。

オリンピック…かぁ
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