【短編】淫らに冷たく極上に甘く
“ターゲット解放”
“ターゲット解放”
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「ねぇ、さっきから何してるの?」
「えっ……ぼく、あの……」
ずっとこっちを見ていたその子に声をかけ、私はこれ見よがしにため息をついて俯いている顔を覗きこんだ。
「一緒に遊びたいの?」
小さく頷くその子。
両手でぐいっとその子の顔を持ち上げて、
「じゃあちゃんと言わないとダメだよ!! 誰かに声をかけてもらうのを待っていたんじゃ、いつまでたっても友達はできないよ!! 分かった?」
「うん……」
「よし。じゃあ、言える?」
両手拳をギュッと握り締めて歯を食いしばったその子は、俯いていた顔を上げると私の目をしっかりと見つめた。
「一緒に遊ぼ」
私は笑顔を浮かべ、その子の手を引いて親に作ってもらったカマクラに連れていった。
降り続く雪を暖かなカマクラの中で眺めながら寄り添う。
きっとあの頃は男とか女と意識してなくて。
「へぇ、おばあちゃんちがこの近くなんだ」
小学校の冬休みを利用してここに遊びに来ていたその子は、遊び相手もいなくて一人でフラフラとこの公園に遊びにきたらしい。
「私、毎日遊びに来てるから、……あれっ? 名前なんだっけ? 私はアイ。葵って名前だけどみんなそう呼んでるから」
それから、恥ずかしそうに名前を教えてくれたその子は、とても可愛くてお人形のような顔立ちをしてる子だった。
それからその子がおばあちゃんちにいる間、何度も一緒に遊んだっけ。
で、別れの日に……。
確か小学校四年生の時の、可愛い思い出……。
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