【短編】淫らに冷たく極上に甘く
12月25日――。
二日続いた大雪もようやくおさまり、空からはハラハラと踊るように雪が舞い降りてきていた。
街はホワイトクリスマス。
いちゃつくカップルを横目に、私は待ち合わせ場所の駅へと歩みを進めていた。
街路樹は白い花を咲かせ、時折その花を勢い良く落とす。
電飾は雪の合間からカラフルな色を発光させ、クリスマスを見事に演出している。
降り積もった地面の雪は、人に踏まれどんどん溶けていっていた。
「あっ、早坂さん。こっち!!」
「ごめん、遅くなっちゃって」
「いいって。どうせみんな遅れてくるんだし」
駅の改札口を見つめながら鼻で笑う中島さん。
確かに待ち合わせ10時って聞いて時間通りに来たのに、今集まっているのは私と中島さんだけ。
「けどさ、中島さん」
「あっ、萌でいいよ。私も葵って呼んでいい?」
「もちろん」
昨晩、同じクラスの中島さ……萌が自宅に突然やってきて今日の誘いをうけた。
クリスマスに一人ってのも何だか寂しい話だし、つい誘いにのったわけだけど。
「ねぇ、萌? 突然私も来ちゃって大丈夫なの?」
「うん。だって私“焦って友達作る必要もない”って言った葵のこと気に入ったし。だから、改めて友達になろ」
差し出された手を見て微笑み、軽く握手を交わす。
「こちらこそよろしく! でもさ、萌以外の子は……」