【短編】淫らに冷たく極上に甘く
父の仕事の都合で転校してきて、四日目。
今日は終業式。
明日から冬休みという中途半端な時期に転校してきたのは、父がどうしようもなく寂しがり屋な人だから。
まぁそんな訳で、まだクラスのみんなとも馴染めてなくて、
「えー、明日から冬休みに入りますが、休みだからといって羽目を外さずに、学生らしく……」
全校集会でかったるい校長先生の話を聞きながら、冬休みは何をして過ごそうかと頭を悩ませる。
地元に帰るには遠いし、お金がかかるし。
うーん……。
「続きまして、生徒会長より一言お願いします」
その言葉にざわつきを見せる周りの生徒たち。
キョロキョロと見渡せば、目がハートになってる子なんかもいたりして。
壇上に上がる後ろ姿さえ様になっている、成績優秀・品行方正・容姿端麗な生徒会長。
まぁ、そんな男って滅多にいないから、これだけ人気があるのも納得できる。
そんな彼が同じクラスにいれば目立つわけで。
その存在は転校初日から、否が応でも知り得ることとなった。
別世界の人物。
まさにそういった感じで、遠巻きに彼の人気ぶりを見ていた。
だけど……。
クラスのみんなも、他の学年の生徒も、先生さえも。
みーんな騙されてるっ!!