【短編】淫らに冷たく極上に甘く
「冬休みの課外は受けますが、急な引っ越しで母の代わりにいろいろと所用がありますので。
勉強は自力で頑張ります」
「そうか?」
「はい」
なんて、嘘。
白崎くんに教えてもらうなんてとんでもない。
そう。
昨日強引にキスをしてきた男。
それが、この学園のアイドルとまで言われる
“白崎春斗”
クラスメイトで生徒会長の、とてつもなく真面目で優しーい仮面を被った男だった。
「それじゃあ、みんなクリスマスは思う存分楽しんでもいいが、26日からの課外忘れるなよ」
それだけ言い残すと教室を去った担任。
周りは明日からの三連休に、しかもクリスマスということで、何だかそれぞれが盛り上がっている。
白崎春斗の周りには女子の人だかり。
いつの間にか他のクラスの子までいた。
……はぁ。
さっさと帰ろ。
まだまだ居づらい教室。
カバンに課題やらを詰め込んでいく。
そうして帰りの準備を進めていると急に視界が暗くなり、頭上に人の気配を感じて顔を上げた。
え?
し、しっ、白崎くん?
「早坂さん」
「は、はぁ」
ま、周りの視線がさっきより痛いんですけど。
「本当に勉強教えなくていい? かなり進んでるから大変でしょ」
遠慮しなくていいから。そう言いながら、天使の微笑みを見せてきた。