Spring
　入ってきたのは男の二人組だった。

店員と何か話していると、一人がこちらに気付き手を振る。また店員に何かを言ってもう一人を連れてこちらへとやって来る。

｢お待たせ｣

　最初に口を開いたのはこちらに手を振ってきた茶髪の明るい男の子だった。

｢晴紀、遅い｣

　佳子がそういうと、彼はごめん、ごめんと言って佳子の隣に座る。

｢隣、いい？｣

｢あ、はい｣

　横から低めの声がかけられ、私は少し左にずれる。

｢保菜美。今わたしの隣にいるのが幼なじみの松永晴紀ね｣

｢よろしくね〜｣

　明るく笑う佳子の幼なじみくんに頷き返す。

｢で、いま保菜美の隣にいるのが｣

｢俺の友達の中村公一ね！｣

幼なじみくんが私に紹介すると、隣の彼はよろしくと口にする。

｢２人とも一個上だから｣

　佳子の言葉に少し緊張してしまう。

　改めて隣をみると、中村先輩は少し長めの黒髪に黒縁眼鏡をかけていて、クールな感じだけど優しい人に見える。

｢はじめまして。佳子の友人の神谷保菜美です｣

　私は二人に名乗る。

｢保菜美ちゃんってクールな感じだね｣

松永先輩はにっこりと笑って、ね〜っと中村先輩にする。


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