Spring
「そうか?」

 中村先輩の言葉に少しドキッとする。

いつも周りからは「クール」とか「大人」などと言われていたから、予想外の反応をされて少し驚いた。

 先輩の顔をみると少し、優しい感じがした。

笑っているというわけじゃないけど、目がどこか優しかった。

「へぇ〜」

 松永先輩も予想外の反応だったのか驚いた顔をしていたが、ニヤニヤと笑い出した。

「保菜美、アイスが溶けるよ」

「あっ!溶けちゃう!」

溶けかけているアイスを慌ててスプーンで掬って口に運ぶ。

「あはは、か〜わい〜」

 そんな私を見て松永先輩は笑う。

視線を感じて横をみると中村先輩と目が合う。

「…」

「…」

「…食べます?」

暫らくの間、無言でにらめっこして、スプーンに掬ったアイスを掲げて聞いてみる。

「食べな」

 先輩はにこっと笑って頭に手を置いてきた。二回ぽん、ぽんっとすると手は去っていく。

その時、離れていく手に少し寂しさを感じたのは気のせいだと思う。

 またまた、視線を感じて前をみると、ニヤニヤと笑う二人と目が合った。

「な、なに?」

「べつに〜」

「早く食べないとまた溶けてきてるよ?」

「…」

 二人の反応を気にせずにメニューを見る中村先輩。

 私はなんだか恥ずかしくなって、慌ててパフェへと向かう。

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