†夢への対価*右目と眼帯†
走り続けることもなく、間もなく大きなドアの前に着いた。
桐會がドアのインターホンを鳴らす。
「はーい、どちら様でしょうか?」
すぐに若い女の人の声がした。
「桐會です。お嬢様を迎えに行って、今帰ってきた所です」
桐會が静かに答える。
「あ、桐會さんですか!わかりました。今から椿[つばき]様に連絡して来ます。ドアを開けるのはもう少し待っていてください」
パタパタと足音が聞こえる。
どうやら女の人はそれだけ言い、椿の所まで報告しに行ったらしい。