†夢への対価*右目と眼帯†
ゆっくりと時間が過ぎていく。
突然、今まで窓の外を見ていた桔梗(ききょう)が口を開いた。
「そういえば咲乱(さくら)…今日の習い事は華道と茶道が入っているから、家に着いたら御祖母様のところに行きなさい」
咲乱というのは先程まで桐會がお嬢様と呼んでいた人物である。
「…はい、お母様…」
少し間があって、咲乱が返事をした。
そこから家に着くまではもう誰も口を開こうとはしなかった。