草食系王子に蜜な口づけを


あたしは思いっきりかりなをにらみつける。



それに比べてかりなは不適に微笑みかえす。



「じつはな〜、彩乃ちゃんに頼みたいことがあんねん」



顔の前に両手をあわせて笑うかりな。



彩乃ちゃんなんて気持ち悪い呼び方すんなよ・・・。



「じつはな〜・・・あいつらを別れさせて欲しいんよ」



さっきとは打って変わって低い、地に落ちるような声を出すかりな。



「はぁ?バカじゃないの?」



あたしがかりなの横を通り過ぎようとしたとき・・・・



「ええの?あの女にセフレがいたこと、みんなにバラせば、あいつの人生おしまいやと思うで?」


にやっと笑うかりなに恐怖さえ覚える。



「でもだからって別れさせたら結愛には今度、彼氏がいなくなるのよ?」


「でも周りの人たちに嫌われてあの女は生きていけると思う?」



確かに・・・結愛は友達思いで優しいし、周りの人に嫌われたら・・・



「うちの予想じゃ、先輩にも言えんと一人で抱え込んで、追い詰められて・・・・自殺するんとちゃうん?」



・・・・・・。



なにも返せない自分が悔しい。



結愛は自分をあまり大切にしないとこがあるから、可能性がないとは言えない。
< 19 / 46 >

この作品をシェア

pagetop