草食系王子に蜜な口づけを
「ありがとね。陸。」
あたしは陸の頬に軽く唇をあてた。
さっきよりもさらに赤くなる陸。
あたしは陸をおいて歩き出した。
それを見た陸が慌てて追いかけてきた。
『ま、待ってよ彩乃〜!!』
なんて言いながら。
おかしくって笑っちゃうよ。
そんな楽しい空間を切り裂くような人物。
「ずいぶん楽しそうやね?」
腕を組み下駄箱によりかかるかりな。
陸にも話してあるから、かりなのことはわかる。
『どうかしたの?かりなちゃん。』
陸の言葉にフフッと笑う。
「本当にあんた男なん?その女のが男みたいやん。」
あたしはムカッとして今にもかりなの胸ぐらを掴みそうだった。
そんなあたしを止めて陸が言った。
『僕よくわかんないからなんのことか教えてよ!』
笑ってかりなの袖を掴む。