ガンバレ ヒカル!!

「廉さん、髪ボサボサなんですけど…」



そう言うと廉さんはアタシの頭から手をどかして大笑いした。



「わりぃわりぃ。元気ねぇとらしくないんだよ、お前は」



そんな事を言われると、本当に涙が出そうになる。



勤務中の鬼の廉さんに戻ってよ。



「あ、うちここです」



涙が出る前に着いてよかった。



今にもこぼれ落ちそうな涙をぐっと引っ込めて、精一杯の笑顔でお礼を言った。



「ありがとうございました」


「じゃあな」



と、手を挙げて車が発進するギリギリの所で、



「やっぱり明日出勤しますね」



一瞬こっちを向いて微かに微笑んでくれた。



廉さんの車がいなくなってアタシは少しの間、その場所に立ち尽くしていた。




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