ガンバレ ヒカル!!
廉さんって不思議な人。
アタシの前に突然現れたり、一歩お店を出れば別人のように優しくなったり。
たまには思わせぶりな発言や行動をしたりと、アタシの心をいつもくすぶる。
そんな事を考えながらボケーッとハサミを動かしていた時だった。
「コラ!ぼけっとすんじゃねぇ」
一瞬空耳かと思ったけれどその声は確かに鮮明に聞こえて、振り向いた先には壁にもたれて腕組みをしながらこっちを見てる廉さんがいた。
「廉さん、いつの間に!?」
「少し前だ。マネキン相手にそれだと、まだまだ客前ではハサミは持たせられねぇな」
「すいません…」
「謝る前に練習だ。浴衣着せてやんねぇぞ?」
「廉さん、本気!?」
「あたりめーだ。ほら、手動かせ」
それからしばらく廉さんの指導は続いた。
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