茜色―菜の花畑―
『ねぇ!憂菜!』
「え!?」
『だから、ビックリしすぎだって。笑』
買ったあとすぐにコンビニを出たあたしを茜は追いかけて来た。
「どうしたの?そんな走って…」
茜を見ると結構急いで来てくれたのが分かる。
『だって…憂菜……っ』
「一回落ち着こうか…」
『はあ……いや、もう大丈夫。久々に走ったから。』
「そういや茜、高校の時、帰宅部だったもんねー。笑」
『だって運動あんまり好きじゃないし…』
ふてくされたように言う茜がとても可愛く見えた。
「で、どうしたの?」
『あー、憂菜と一緒に帰ろうと思って。』
「え、でも帰る方向はこっちだけど茜は?」
『ん。俺もこっちだから問題はないよ。』
「そーなんだ。」
ならいっか、と思って歩き出した。
帰ってる途中ふと思った。
(家(マンション)までちょっとじゃん………よし、今のうちに連絡先聞いとこ。)
「あ、茜?」
『ん?』
「あの、あたし茜のケー番とかメアド知らないからさ、教えてほしいんだけど…」
返事が気になったから恐る恐る茜の様子を伺うと、今まで見たことの無いような優しい顔をして、いーよと言ってくれた。
あたしはあまりにも嬉しくて思わずやった!!と大きな声で叫んでしまった。
「あ…」
我に返るのと同時に茜が大笑いしだした。
『あはは!憂菜らしー。…ふふ…あははは!』
「ちょ、笑いすぎだって!」
『あーごめんごめん。あまりに憂菜が可愛かったから。』
「え」
『可愛いよ憂菜は。』
「――…っ」
思わぬ誉め言葉に茜から目を背けた。あまりに嬉しすぎて顔を見ることができなかったから。