茜色―菜の花畑―
10分ほど歩くとあたしが住んでいるマンションに着いた。
「茜、ここまででいいよ。」
『え?いや、送れるとこまでは送るよ。』
にこっとして言うもんだから、じゃあお願いと意地を張ったような言い方をしてしまった。
(あー…また……。もっと素直になりたいな…)
そう思いながら歩くとついに自分の住んでる階に着いた。
(ちょっと…5階に着いちゃったじゃん……どーすんの?)
と思い、茜の方をちらっと見ると何?と言ってきたのでまたも何でも!と強く返してしまった。
そして遂に自分の部屋の前に着いた。
「あ、あたしの部屋ここだから。」
『うん。』
え、うんって…?
「じゃーね。」
『またね。』
またね。だって!また会えるのかな。とわくわくしながら部屋に入ろうとした時―
―ガチャ―
(ん?―…)
恐る恐る左を向くと…
『じゃーな、憂菜。また明日!』
―バタン―
……………え?
「えぇーーー!!?」
慌てて左隣の部屋の前に行き、表札を見ると
<鴻上>
「な!?」
びっくりして思わず声を出してしまった。すると…
―ガチャ―
『憂菜?あ、本当に憂菜だ。どうしたの?急に大声出しちゃって。』
「だって!!茜!!家!!」
『ぷっ。一回落ち着こうか。そういや言ってなかったもんな。』
何を?
「どーなってんの!?」
『まあ今言えるのは俺もこっちの大学に受かったって事かな。』
「こっちの大学ってどこの大学!?」
『え、何?知りたいの?笑』
と、にっこりして言うもんだから
「知りたいよ!!」
(あ……本音が………)
気付いた時には遅かった。
恥ずかし過ぎて顔が上げられない。すると茜が、
『まあ明日になってからのお楽しみな。笑』
「う……うん///」