茜色―菜の花畑―
再び
昨日はあの後大人しく退散した。
本当はもっと話していたかったが顔が赤いのがバレる気がして慌てて帰った。
しかも昨日1日だけで結構いろんなことがあった。
…って言っても殆ど茜が絡んでいるのだが…
これまでの生活とは真逆と言っていい状態だった。あたしの今までの生活は特に何も起こらない。
至って平凡な生活を送っていたからだ。
(…昨日の疲れが今きてる……あー…でも起きないと…今日入学式だ…)
そう、今日は大学の入学式だ。
苦労して勉強して合格できた。
ここの大学を受けたのは、確かあたし1人だ。
さて、新しい生活のスタートだ!と気合いを入れて、行ってきますと誰もいないのに大きな声で言って部屋を出た。
『おっはよー憂菜!』
「わあ!!?」
いきなり声をかけられた。その犯人と言えば…
『なんだよー毎回びっくりして。茜君は傷つきます。』
あははー…茜君とか自分で言うなよ!可愛いな!
もう犯人はお分かりだと思うが改めて…
鴻上茜だ。
まさかのマンション一緒でしかも同じ階。さらに隣同士という事が発覚した。
茜曰くこっちの大学に受かったから今ここにいるんだと言っていたが……
(…だからこっちの大学ってどこだよ…!いっぱいありすぎて分かんない。)
『で、憂菜。おはよーは?』
「え…?あーおはよう。」
『もうちょっと大きな声で!はい、せー…』
「おはよう!」
(あ…なんか今変な言い方した…)
『あはは。憂菜関西弁使えたっけ?使えないでしょ。笑』
そう、今あたしは生まれて始めて関西弁を使った。出身とか全然関西じゃないのに。