運命の歯車-不思議の国のアイツ-
コウは、職員室でコッテリと説教をくらい、学校を後にした。
「あれ?・・・確か・・・タバコの子だよね。」
校門にもたれかかって立っているマイにコウが話かける。
「・・・何で?」
マイは、いきなりコウに聞いた。
「・・・何が?・・・今日は、先生からも何で何でって言われて、出来たら、もう何では勘弁してもらいたいんだけど。」
コウは、少しげんなりとした表情でマイを見る。
「・・・でも、あのタバコ・・・あなたの物じゃないよね?」
「あれ?そうだったっけ?・・・俺、馬鹿だから、忘れちゃったよ、そんな昔のこと。」
コウが、とぼけながら、マイを見る。
「でも・・・」
マイが、言いかけたところで、コウは、マイの目の前に手のひらを広げた。
マイは、思わず黙る。
「俺は、もう忘れたから、お前も忘れろよ。・・・どうせ、ひとりが怒られればすむ話なんだからさ。・・・ただ、タバコはやめろよ。俺、あんまり好きじゃないんだよな、タバコが。」
コウは、そう言って、マイに手を振りながら、歩き始めた。