運命の歯車-不思議の国のアイツ-
「そっちの奴は、大丈夫か?」
ジンが、今にも倒れそうなジュンを見た。
「あっ、へ、平気です。」
なぜか、緊張した面持ちで答えるジュン。
「急にどうしたんだよ、ジュン?」
コウがジュンに尋ねた。
「いや、その・・・俺、蒼炎の神崎さんに憧れてて・・・なんていうか、こんなところでお会いできるなんて・・・・」
血だらけの顔をさらに真っ赤に染めて答えるジュン。
「神崎じゃなくてジンでいいよ。」
ジンが、優しくジュンに微笑む。
「ほ、本当ですか、ジ、ジンさん・・・・」
うれしそうに何度もジンの名前を繰り返すジュン。
「その様子だと、平気みたいだな。」
ジンは、コウとジュンの様子を見て、安心したような表情に変わった。
「ところで、何でジンさんが?」
コウが、不思議そうにジンを見た。
「ああ、さっき仕事帰りにリョウを見かけてな、リョウと2人で道端で話してたら、いきなり、女の子に助けを求められてな。それで、場所を聞いて、俺だけ先に来たってわけさ。」
「そうだったんですか・・・」
納得した表情のコウ。
「おい、コウ、大丈夫か!!」
路地の先からコウを呼ぶ声が聞こえた。
見ると、ジュンの彼女とリョウが、一緒に、こっちに向って歩いてきていた。