運命の歯車-不思議の国のアイツ-
「言ってなかったか?今度、事業提携した篠山グループの御曹司と婚約することになった。これで、我が御薗グループもより繁栄すること間違い無しだ。」
満面の笑みを浮かべ、満足そうな父親。
(・・・・・何・・・それ?)
しかし、アヤにとっては、突然のことに、驚きを隠せない。
「・・・・婚約って・・・私、まだ、中学3年ですよ?」
「問題ないだろ?別に今すぐ結婚するわけじゃない。あくまで、婚約するだけだ。向こうの御曹司も今、大学3年だというから、結婚自体は、まだまだ先の話だ。」
「それじゃ、何故、婚約しないといけないんですか?」
真剣な表情で父親を見つめるアヤ。
「何か問題でもあるのか?別に構わないだろう、婚約くらい。どうせいつかは結婚するんだ。その相手が、篠山グループの御曹司なら文句はないだろう?」
なぜ、アヤが、こんなに必死になるのかわからないといった表情の父親。
「・・・・・私の気持ちはどうなるのですか?」
「アヤ・・・・結婚に気持ちなんて関係ない。あるのは、打算だけだ。この婚約で我が御薗グループが、さらに発展するのであれば、それだけで、十分な理由だろう?」
アヤに言い聞かせる父親の目は、この上なく冷たかった。
自分の子供ではなく、利用できる道具を見る目がそこにはあった。
「・・・・・政略結婚をしろと?」
アヤは、真っすぐに、父親の冷たい目を見た。