運命の歯車-不思議の国のアイツ-


「ああ、それで、最後に紅蓮と喧嘩するらしくてな。ここで、活躍すれば、ジンさんが、引退した後に一気に幹部に上り詰めることができるかも知れないんだよ。」



男の目が、野心的な光を帯びた。



「紅蓮と喧嘩かぁ・・・でも、俺、色んな奴から最近、喧嘩するなって言われてるしな・・・」



アヤとコウの顔を思い浮かべて、苦笑いするリョウ。



「なんだよ、リョウ、喧嘩やめたのかよ?」



「いや・・・そういうわけじゃないんだけどな・・・」



「・・・まぁ、もし、気が変わって、蒼炎に入る気になったら、早めの方がいいぜ。紅蓮との喧嘩の前に入らないとチャンスないからな。」



「・・・・わかったよ。考えとくよ。」



それから、リョウと男は、しばらく、たわいもない話をしていた。



しかし、リョウの頭の中では、蒼炎に入るべきかどうかをずっと考えていた。



(幹部かぁ~・・・・)



横目で、遠くのジンを見ると、他の男達とは、明らかに違う輝きを放っていた。



(俺も、ジンさんみたいになれんのかな?)



リョウは、自問自答を繰り返していた。




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