運命の歯車-不思議の国のアイツ-
「・・・・・もう、山下くん!」
マイも、声では、怒った様子でコウを責めていたが、その表情には、うれしさを隠しきれていなかった。
「コウ、何で図書館に来なかったんだよ?」
マサヤが、コウを責めるような口調で言う。
「何言ってるんだよ?俺、図書館にいたぞ?」
「どこに居たんだよ?」
「・・・・・漫画のところ。」
マサヤと視線を合わせずに答えるコウ。
「・・・・山下くんらしいね。」
マイは、呆れながらも、笑っていた。
「まぁ、そういうことだから、じゃあな。」
いきなり、コウが、マイとマサヤの歩く方向と逆の方向に歩き始めた。
「どこ行くんだよ、コウ?お前の家、マイちゃんの家の方向と同じ方向だろ?」
「ちょっと用事があるんだよ。」
コウがめんどくさそうにマサヤに答える。