運命の歯車-不思議の国のアイツ-
「山下くん、一緒に帰らないの?」
マイも残念そうに尋ねた。
「悪いな。まぁ、マサヤがしっかり家まで送るから安心しろよ。」
コウが、笑顔でマイに答えた。
それから、コウは、マサヤの耳元で一言、マサヤだけに聞こえる声で、「頑張れよ。」と言うと、そのまま、どこかに歩いていった。
「まったく、アイツは、仕方ない奴だな。・・・・マイちゃん、帰ろうか?」
マサヤが、コウの行動の呆れた表情を見せて、そして、一回ため息をついた後で言った。
「うん・・・そうだね。帰ろう、マサヤくん。」
一瞬、残念そうな表情を垣間見せたマイだったが、すぐにいつもの表情に戻り、笑顔でマサヤに答えた。
(・・・・・コウ、ありがとうな。)
マサヤは、気を利かせてくれたコウに心の中で感謝の言葉を言いながら、マイと歩き出した。