運命の歯車-不思議の国のアイツ-
「何か用か?」
タバコをくわえたままで、男子生徒が、マイに話しかけてきた。
「あっううん。別に用とかじゃなくて・・・」
焦った様子で否定するマイ。
「ふ~ん。じゃ、何でこんなところにいるんだ?」
男子生徒は、不思議そうにマイを見る。
確かに男子生徒が言うように、屋上にわざわざ行く生徒なんてめったにいない。
昨日のマイや今、マイの目の前にいる男子生徒のように、何か他の人に見られたくない理由がない限り。
「・・・・・」
男子生徒に言葉を返せないマイ。
「・・・別に言いたくないならいいけど・・・もしかして、俺に用があるのか?」
男子生徒は、持っていたタバコを足元に投げ捨てて、左足で踏み潰してから、マイの間近まで寄ってきた。
至近距離に迫る男子生徒。
マイは、どうしていいのかわからずに、動けないでいた。