運命の歯車-不思議の国のアイツ-


「何か用か?」



タバコをくわえたままで、男子生徒が、マイに話しかけてきた。



「あっううん。別に用とかじゃなくて・・・」



焦った様子で否定するマイ。



「ふ~ん。じゃ、何でこんなところにいるんだ?」



男子生徒は、不思議そうにマイを見る。



確かに男子生徒が言うように、屋上にわざわざ行く生徒なんてめったにいない。



昨日のマイや今、マイの目の前にいる男子生徒のように、何か他の人に見られたくない理由がない限り。



「・・・・・」



男子生徒に言葉を返せないマイ。



「・・・別に言いたくないならいいけど・・・もしかして、俺に用があるのか?」



男子生徒は、持っていたタバコを足元に投げ捨てて、左足で踏み潰してから、マイの間近まで寄ってきた。



至近距離に迫る男子生徒。



マイは、どうしていいのかわからずに、動けないでいた。

< 14 / 275 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop