運命の歯車-不思議の国のアイツ-
第3節:アユミ
コウは、マサヤとマイが二人でアヤとリョウのことをどうするか話し合っている横で、ボォーっとしながら、公園を行き来している人を眺めていた。
ふと、その中に見知った顔があることに気づく。
コウは、マサヤとマイをベンチに残したまま、急に立ち上がると、その見知った人の所へと歩いていった。
「アユミさん、どうしたんですか?」
暴走族蒼炎の総長ジンの婚約者アユミだった。
「あれ?ジンくんこそどうしたの?」
アユミは、急にコウに話しかけられて驚いた表情で立ち止まったが、すぐに笑顔になる。
「いや、俺は、友達とちょっと話してただけですけど。」
コウは、笑いながら答えた。
「私は、買い物から帰るところよ。」
アユミも笑いながら答えた。
確かにアユミの両手には、買い物袋がさげられていた。
「歩いて大丈夫なんですか?」
コウは、妊娠中のアユミのことを心配して声をかける。
「うん。別に妊娠は病気じゃないんだから、平気よ。むしろ、少しくらい運動しないといけないのよ。」
「そうなんだ・・・」
コウは、アユミの話に感心したようにうなずいた。