運命の歯車-不思議の国のアイツ-
「そうです。あの事故で私のお母さん、・・・・・殺されたんです。」
マイの顔から笑顔が消えていた。
マサヤとコウは、何も言うことができなかった。
事故があったのは、知っていたが、まさか、こんな身近な人の身内が巻き込まれていたとは、想像だにしなかった。
「ごめんね。」
アユミは、マイを真っすぐに見つめて謝る。
「えっ、そんな、別にアユミさんが悪いわけじゃないですし。」
アユミの急な謝罪に焦るマイ。
「ううん。私のせいでマイちゃんに嫌な思いをさせたわけだし、謝るのは当然だと思うの。」
真剣な表情のアユミ。
「アユミさん・・・・」
マイの目から涙が溢れ出した。
そして、アユミは、そんなマイを優しく抱きしめる。
しばらくの間、マイは、アユミの胸で泣いていた。
コウとマサヤは、アユミとマイをただ、見守っておくことしかできなかった。