運命の歯車-不思議の国のアイツ-
コウは、マイとマサヤと公園で別れてから、携帯電話でリョウに連絡した。
「リョウか?」
「・・・・・・何の用だよ?」
リョウの声は、いつもより暗く重かった。
しかし、そんなことは、少しも気にせずにコウは、話し続ける。
「この前、東三鷹中の奴らと揉めた学校近くの体育館裏に今、いるんだけどさ。ちょっと話したいことあるから出て来いよ。」
「・・・・何言ってんだよ、コウ。俺、今、そう言う気分じゃないんだよ。・・・それに話しなら、今、電話で話せばいいだろ?」
めんどくさそうに話すリョウ。
「電話で話すようなことじゃないんだよな。どうせ、アヤ、振られて暇なんだろ?出て来いよ。」
「・・・・・誰に聞いたんだよ。・・・・・まぁいいけど。聞いたんなら、わかるだろ?俺は、今日は、どっかに出る気分じゃないんだよ。」
いつものリョウなら、間違いなく怒るようなことをコウが言っても、リョウは、まったく怒った様子はなかった。
「はぁ~・・・・ここにアヤもいるんだけどな。」
とんでもない嘘をつくコウ。
「・・・・わかったよ。ちょっと待ってろ。」
しかし、その効果は抜群で、リョウは、返事をして、すぐに携帯電話を切った。
「・・・・さて、どうするかな・・・・」
コウは、日が暮れ、暗闇に包まれた体育館裏で、リョウが来るまで、ひとり静かに座っていた。