運命の歯車-不思議の国のアイツ-
「だったら、それまでは、まだ猶予があるってわけだな。」
うれしそうな表情になるリョウ。
「・・・・別に猶予ってわけじゃないわ。」
冷たく言い放つアヤ。
そんな、アヤに近づいていき、アヤの腕を掴むリョウ。
ゆっくりと力強く、アヤを引き寄せる。
そして、アヤの耳のすぐ横にリョウは口をおき言った。
「アヤは、俺のものだ。」
アヤの耳の奥までリョウの声が響き渡る。
その言葉を聞いて、アヤの目から涙がこぼれそうになるが、必死に抑える。
リョウは、アヤから離れ、微笑みかける。
「・・・・見とけよ!」
そう言うと、リョウは、自信満々の笑顔を浮かべ、屋上から降りていった。
アヤは、そのリョウの背中を、うれしさと哀しさが入り混じる微妙な表情で眺めていた。