運命の歯車-不思議の国のアイツ-
「・・・・・中学3年間、山下くんと同じクラスになることなかったね。」
マイが、コウを直接見ないで、黒板の方向を見たままで言った。
「・・・そうだな。」
コウも黒板の方向を向いたままで言った。
「ところで、何でひとりで教室にいたの?」
マイは、勇気を出して、コウを見た。
イスに座っていて、コウとの視線がほぼ平行な感じは、いつもコウを見上げないといけないマイにとって、何か新鮮な光景だった。
「・・・・別に何か理由があるわけじゃないんだけどな・・・・リョウが屋上に上がるのが見えたから。」
コウは、相変わらず、黒板の方向を向いたまま。
「・・・アヤも屋上に行ったの?」
「・・・多分。さっき、アヤの教室に行ったら、アヤの友達が、屋上に行ったって言ってたから。」
「・・・そうなんだ。」
マイとコウの間にしばらくの沈黙が続いた。
教室の窓からは、まばゆい夕日が、教室いっぱいに差し込んできている。
窓際のコウを大量の夕日が包み込む。
マイの目から見たコウは、夕日の輝きに優しく包まれて、コウの髪の黒の髪の毛が、まるで金髪に綺麗に輝いているように見えた。