運命の歯車-不思議の国のアイツ-
「・・・・うん。平気だよ。」
マイは、微妙な心境が表に出ないように、必死に取り繕って笑顔を作った。
「・・・・そうか。・・・・だったら、いいけど。」
コウが、マイの笑顔を見て、少し安心したような表情に変わった。
(山下くんって・・・本当に温かい人だな・・・・。)
マイは、コウの優しさに甘えたい気持ちを必死に心の奥底へと追いやる。
「・・・・その・・・海堂のお母さんのことだけどさ・・・」
少し言いにくそうにコウが、話し始めた。
「・・・・私のお母さん?」
マイは、いきなりの母親の話題に少し驚いたようにコウを見る。
「ああ、・・・俺、全然、そんなことあったって知らなくてさ。・・・・初めて会った時、俺、タバコ嫌いだからやめろよみたいなこと言ってごめんな。」
コウが、マイに頭を下げた。