運命の歯車-不思議の国のアイツ-
「復讐が正しいのか、世間の常識のように復讐は正しくないのか・・・・そんなの実際に殺された人でないとわからないと思うんだ。・・・・常識通り、復讐なんてやめておけよっていうのは、言うのは簡単だけどさ、それじゃ、その殺された人達の心にずっと恨みを抱えて我慢しておけって言ってるのも同じことだろ。それが、どれだけつらいことか・・・それなのに、軽々しく俺なんかが言えることじゃないよ。」
「・・・・・」
マイは、無言のまま、コウを見つめた。
「ただ、俺に出来ることは、少しでも海堂の心の重みが取り除けるならいいって思うぐらいだよ。」
真剣な表情でマイを見つめるコウ。
「・・・・・・山下くん。」
マイの目から、一滴、涙が零れ落ちる。
「・・・泣くなよ。」
コウが、優しく右手でマイの頬を伝う一滴の涙を拭いた。
「・・・うん。」
マイは、それ以上、涙が出ないように我慢した。
「あれ、コウとマイちゃん、何してんだよ?」
その時、教室にマサヤが入ってきた。