運命の歯車-不思議の国のアイツ-
「そこを何とか、お願いします。」
リョウは、イスから降りて、土下座して頼み込んだ。
「土下座なんてやめて、・・・・何か理由があるのかい、この店で働かなきゃいけない理由が?」
店主は、リョウの土下座をやめさせて、イスへと座らせた。
「それは、・・・ネットで調べてみたら、ここのケーキが美味しいって書いてあって・・・作っているのは、有名なパティシエだって書いてあったから。・・・俺、パティシエにならなきゃいけないんです。」
真っすぐ、店主を見つめるリョウ。
店主は、そんな真っすぐな瞳で見つめられて、困ったように頭をかいた。
「・・・・何で、パティシエを目指すかは言えないのかい?」
店主は、リョウに尋ねた。
「・・・はい。・・・いや、別に変な意味じゃなくて・・・・。」
リョウは、いいにくそうにマゴマゴとする。