運命の歯車-不思議の国のアイツ-
「ちょっと、待てよ・・・・・ウワァァァァ!あ、足が!!」
財布を捜していた男が、太ももを押さえて、叫び声を上げる。
「なっ、どうしたんだよ!」
残りの2人の男達が、叫び声をあげた男の側にいく。
見ると、男の太ももからは、真っ赤な血が溢れ出していた。
地面に倒れていたマサヤが、ゆっくりと立ち上がる。
その右手には、赤く染まった折りたたみナイフが握られていた。
マサヤは、ゆっくり顔を動かし、残りの2人の男達を見る。
「・・・・・・・。」
無言のまま、男達を見つめるマサヤ。
「こ、こいつ、いかれてるよ・・・。」
男の一人がつぶやき、太ももを刺された男に肩をかして、その場から逃げ出していった。
マサヤは、その様子をたた虚ろな目で見ていただけだった。
男達が逃げ出した後で、マサヤは、ナイフを持っている手を見ると、手にまで血がついていた。
その血を無造作に服で拭いて、ナイフを折りたたんでポケットにしまいこむ。
その時、通りの方からパトカーのサイレンが聞こえてきた。
「・・・・今、捕まるわけにはいかない・・・」
マサヤは、つぶやくと、すぐにその場を走って、夜の繁華街へと消えていった。
その日以降、学校でマサヤの姿をみることはなかった。