運命の歯車-不思議の国のアイツ-
リョウは、ケーキ屋に面接に行った次の日から、学校が終わるとすぐに、ケーキ屋のバイトへと行っていた。
働くことに慣れていないリョウにとって、ケーキ屋のバイトは、重労働だった。
実家も出て、親類の経営するアパートの一室を特別に借りている。
なぜなら、ケーキ屋の朝は早く、仕込みから手伝うためには、実家からは、無理だった。
早朝、アパートからケーキ屋に向かい、学校の時間に合わせて、電車に乗って、学校へ行き、学校が終わると、また、電車に乗ってケーキ屋で最後まで働く生活。
普通の大人でも音をあげてしまいそうな生活をリョウは送っていた。
すべては、アヤのために。
今のリョウには、アヤ以外見えていなかった。
そんなある日、リョウは、仕事が終わって、疲れきってアパートに帰る途中に、見慣れた姿を見かけ、声を掛ける。
「あれ?マサヤじゃないか?」
「・・・・リョウ。」
リョウは、街灯の下に立つマサヤに近づく。
「・・・おい、どうしたんだよ、マサヤ?誰にやられたんだよ?」
リョウが、マサヤに聞いた。
すでに夜22時を回っていたから、遠目には、気づかなかったが、マサヤの顔には、無数の傷がついていた。