運命の歯車-不思議の国のアイツ-
第5節:手配
ブゥ~・・・ブゥ~・・・
バイブ機能をオンにしておいたコウの携帯電話が、コウの部屋のほとんど使われていない机の上で振動する。
まだ、外は、ようやく朝日が昇り始めた時間だった。
昨日、遅くまでマサヤの寄りそうな場所を探していたコウは、疲れきってベッドで熟睡していた。
「・・・・うぅぅ~ん・・・・・・。」
コウは、携帯電話が振動していることに気付かずに、そのまま寝ていた。
そして、携帯電話は、振動を止め、留守番電話へと繋がる。
しかし、留守番電話にメッセージを残されることなく、再び、携帯電話が振動し始める。
ブゥ~・・・ブゥ~・・・
それを何度か繰り返した後で、ようやくコウは、自分の携帯電話が振動していることに気がついた。
コウは、眠そうに目を擦りながら、ゆっくりとベッドから起き上がると、机の前に行き、携帯電話を取った。
「・・・・もしもし?」
「あっ、山下くん?」
電話の相手は、マイだった。
マイは、電話越しでも分かるくらい声が動揺していた。
「どうしたんだ、海堂?」
マイの動揺した声を聞いて、一気に目がさえるコウ。