運命の歯車-不思議の国のアイツ-


「あ、あのね。それがね。・・・」



「海堂・・・落ち着いて。」



動揺してうまくしゃべれないマイ。



そんなマイに、コウは、優しい声を掛ける。



「う、うん。あのね、山下くん、今、テレビ見られる場所にいる?」



「ああ、テレビつけるのか?」



コウは、マイの返事を待たずに、コウの部屋にあるテレビの電源を入れた。



テレビの時刻は、朝7:05を映し出している。



「うん。それで、テレビのニュースを見て!」



「ニュース?・・・今、ちょうど、見てるけど?どこのニュースだ?」



「8チャンネル。」



マイは、相変わらず焦った様子の声だった。



コウは、マイに言われたとおり、8チャンネルに合わせた。



番組は、特に他の局と変わりない有名キャスターを使ったニュース番組だった。



ちょうど、ニュースは、ここ数日起きている通り魔事件のニュースを伝えていた。



「・・・4人の被害者は、全員、20歳前の若者で、死者は出ておりませんが、中には重傷者もおり、警察による早い解決が望まれております。・・・」



テレビでは、聖人面したコメンテーター達が、好き勝手な想像を並べ立てて、犯人像の推測していた。

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